毎日何気なく仏壇に供えている、お線香、お花、ご飯、お水。

実はこれらのお供え物には、それぞれ意味があります。

仏教では、仏様への基本的なお供えとして「香・花・灯燭・浄水・飲食」の五つを「五供(ごくう)」と呼びます。

「仏壇には何を供えればいいの?」と聞かれることがありますが、まずはこの五供を覚えておくと分かりやすいと思います。

1.香(こう)――お線香

お線香やお香を供えることを「香供養」といいます。

以前にも書いたことがありますが、「仏様は香りを召し上がる」といわれます。そのため、良い香りを仏壇に供えることそのものが供養になります。

また、お線香の煙がこの世とあの世をつなぐもの、と説明されることもあります。

線香には、白檀や沈香など香木を使ったものから、煙の少ないもの、花の香りのものまで、本当にたくさんの種類があります。

毎日使うものですから、ご先祖様を思いながら、自分の好きな香りを探してみるのもいいかもしれません。

2.花(はな)――仏花

仏壇にお花を供えることも五供の一つです。

花は仏様の慈悲を表すとともに、美しい花が厳しい自然の中でも咲く姿から、忍耐を表すともいわれています。

僕も今回この記事を書くにあたり、「忍耐」という意味があることを知り、意外に思いました。

そして花も、お線香と同じように香りを供えるものでもあります。

お葬式や法事だけでなく、普段の仏壇にも季節のお花を一輪供える。それだけでも立派なお供えです。


3.灯燭(とうしょく)――ローソクの明かり

ローソクなどの明かりを供えることです。

仏教では、仏様の智慧を光にたとえることがあります。暗闇を照らす光のように、迷いや煩悩を取り除くものとされています。

最近では火災防止のためLEDローソクを使うご家庭も増えましたが、ご焼香やお参りの際には、安全に十分注意したうえでローソクに火を灯して手を合わせるのもよいでしょう。


4.浄水(じょうすい)――お水やお茶

きれいな水を仏様に供えます。

水には仏様の喉を潤すという意味だけでなく、清らかな水のような心で仏様に向き合う、という意味も込められているといわれます。

地域や宗派によっては、水ではなくお茶を供えるご家庭もあります。

なお、宗派によっては水を供えない場合もありますので、ご自宅の宗派の作法が分からない場合には菩提寺に確認してみてください。



5.飲食(おんじき)――ご飯や食べ物


「飲食」と書いて「おんじき」と読みます。

代表的なのが、毎朝炊いたご飯を仏飯としてお供えすることです。

炊きたてのご飯から立ち上る香りも、仏様へのお供えになります。

そして僕は、毎日のご飯を供えることには、

「あなたの子孫は、今日も朝から元気でご飯を食べられます」

というご先祖様への報告の意味もあると思っています。

難しく考えなくても、その日にいただくものを「まず仏様にも」と少しお供えする。その気持ちが何より大切なのではないでしょうか。

五供は「仏様へのごちそう」


五供という言葉だけ聞くと難しく感じますが、

香りを供える。
花を供える。
明かりを灯す。
水を供える。
食べ物を供える。


こう考えると、昔から家庭で普通に行われてきたことばかりです。

毎日すべてを完璧に用意しなければならない、という話ではありません。

朝、ご飯を炊いたら仏壇にも一膳。お花の水を替えて、お線香を一本。

そんな日々の行為が、ご先祖様を思い出す時間になれば、それが一番の供養なのかもしれません。

※五供の考え方や実際のお供えの作法は、宗派や地域によって異なる場合があります。詳しくは菩提寺にご確認ください。